第一百韻 『野分雲』の巻
2011.09.05.~09.25.
1 発句 野分雲湧きて急かるる家路かな 秋 草栞
2 脇 すゝきが原のさわぐゆふぐれ 秋 私
3 第三 いつの世も名月はただ待たれゐて 秋月 ね子
4 鄙人さへもときに句を吐く 私
5 遠方の朋集まりて楽となす 栞
6 箸から滑り落つる湯豆腐 冬 ね子
7 ねぇあなた毛皮のコート買っていい? 冬 私
7 省エネで家の中でも着るダウン 冬 私
8 包み隠せぬオーラ立ち出で 栞 両句に
初ウ
9 ワルツ舞ふ仮面の二人刹那とて 恋 風牙
10 前世来世も夫婦なるべし 恋 ね子
11 出任せとおもへどうれし占ひ出 私
12 残り物には福の待つらん 栞
13 行列は流行りの店のAランチ 牙
14 学生気分にかへる古書街 私
15 紙魚の跡辿りてみても一人きり 夏 ね子
16 匂ひ袋に仕舞ふ遺言 夏 栞
17 父母逝きしままの家なり草いきれ 夏 牙
17 深淵に波紋残して岩魚消ゆ 夏 牙
18 少年の日を偲ぶふるさと 私 両句に
19 ポケットに珈琲飴が溶けてゐた ね子
20 なごり雪さへ何時しか止みて 春 栞
21 青雲を暫し隠せよ花の雲 春花 牙
22 子が吹くシャボン玉の煌めき 春 ね子
二オ
23 何股もかけるところはママ譲り 恋 私
24 初デートには椿姫観る 恋 牙
25 南仏の海へ私も連れてって 恋 栞
26 未知を知ることこそ生きる糧 私
27 萌え萌えと会話を交はすメイドカフェ ね子
28 持たす土産はえんま帳なり 栞
29 閉ざされし学舎の窓青嵐 夏 牙
30 夕立のなか跳ぶランドセル 夏 ね子
31 夏休み始まるときはえびす顔 夏 私
32 料理自慢の嫁を貰ひぬ 牙
33 けふもまたブログに写真アップして 栞
34 やゝ中毒の紅茶ブレイク 私
35 不知火の揺らめく夜を楽しまむ 秋 ね子
36 くノ一潜む朔日の月 秋月 栞
二ウ
37 菱摘みし池遠くなり家並ぶ 秋 牙
38 中古建て売り表札を見る ね子
39 転勤は娘の転校を強ひにけり 私 娘(こ)
40 ポストにそっと返す合鍵 恋 牙
41 旧姓の年賀状見てショック受け 新年恋 栞
42 きみ住むかたに澄める初富士 新年 私
43 手に掬ひ雪解の水を味はへり 春 ね子
44 仄かに花の匂ふ気がして 春花 栞
45 蝋燭のただ揺らめく夜受難節 春 牙
46 為して成せるか日本再生 ね子
47 巌壁に怒涛の砕け散る飛沫 私
48 不良少女は髪を黒くし 牙
49 誘惑の逢魔時に身悶える 恋 栞
50 寄る辺さだめずまよふ浮舟 恋 私
三オ
51 記憶なき人を羨むひともゐて ね子
52 忘年会の幹事頼まれ 冬 栞
53 カラオケの十八番重なり寒に入る 冬 牙
53 星付きの店人疎ら寒きびし 冬 牙
54 懐ぐあひ株価次第に ね子 両句に
55 団塊の加齢でかはる世のしくみ 私
56 引き取る人の無いハムスター 牙
57 役立たぬ縁もゆかりも断捨離で 栞
58 もとは武士とや旅の墨染 私
59 いかやうな人目しのぶの乱れにて 恋 ね子
60 一途な想ひ色に出にけり 恋 栞
61 即興の曲は何処かで聴いたよな 牙
62 夢の国なるシンデレラ城 ね子
63 こはもても覚えずゑまふ花に月 春花月 私
64 辿々しくも踏む春舞台 春 牙
三ウ
65 蜃楼へ飛んで行きたし念力で 春 栞
66 玄奘の苦労たどるキャラバン 私
67 妖かしの跋扈するらし青き星 ね子
68 道理通らぬ政界の闇 栞
69 表情を変えずに待つは絵札なり 牙
70 逆転なるか王手飛車取り ね子
71 ぶつぶつと聞こえよがしに妻の声 私
72 たかべの焼けるまでに一杯 夏 牙
73 目に留るノースリーブの白き腕 夏恋 栞
74 避暑地の恋と思ひたくなし 夏恋 私
75 愛人の五人六人まで数へ 恋 ね子
76 博士に返る手帳の記録 栞
77 決め玉を打たれるときの多くなり 牙
78 あれよあれよと神無月入り 冬 ね子
名オ
79 散り残る木の葉すがるや初しぐれ 冬 私
80 駆け出し記者は狙うスクープ 牙
81 リツイートされる噂は真ならず 栞
82 避難袋をもどす押入れ 私
83 缶詰の賞味期限を確かめて ね子
84 誰に食はすか秋茄子の山 秋 栞
85 意地悪な雲の邪魔する月今宵 秋月 牙
86 水澄むときに死んでゆきたし 秋 ね子
87 芋の露連山影を正しうす 秋 蛇笏
88 最後の授業終へて一礼 牙
89 極上のアルザスワインどうですか? 栞
90 上司にゴマをするも身の為 私
91 セサミンとセシウムときに言ひ違へ ね子
92 毒も薬も隣り合はせに 栞
名ウ
93 やつがれに冬薔薇とは勿体なし 冬 氷心
94 イブの夜なれば奇跡一つも 冬恋 牙
95 気のせいかモテ期に入り紅を差す 恋 ね子
96 楽屋入りするあなた浮かべて 恋 栞
97 薄氷の下に蠢くもののあり 春 牙
98 花を訪ねて巡る諸国よ 春花 ね子
99 忘れ得ぬ同行二人旅遍路 春 栞
100 肩を揉みあふ温き縁側 春 氷心
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